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『カール・ロジャーズ入門』諸富祥彦|自分が自分になることを考えたくて読んだ本

諸富祥彦著『カール・ロジャーズ入門』を紹介します。自分を責めることで変わろうとするのではなく、自分を受けとめ直し、自分が自分になることを考えるきっかけになる本です。

諸富祥彦著『カール・ロジャーズ入門 自分が自分になるということ』の本を木目の上に置いて撮影した写真

『カール・ロジャーズ入門』諸富祥彦

諸富祥彦著『カール・ロジャーズ入門 自分が自分になるということ』の本を木目の上に置いて撮影した写真
諸富祥彦さんの『カール・ロジャーズ入門』。自分が自分になること、自分を受けとめることについて考えるために読んだ本です。

自分らしくいたいと思っていても、それがよくわからなくなることがあります。

人に合わせる。

期待に応えようとする。

ちゃんとしているように見せる。

本当はつらいのに、大丈夫なふりをする。

そうしているうちに、自分が何を感じているのか、自分がどうしたいのかが見えにくくなることがあります。

諸富祥彦さんの『カール・ロジャーズ入門』は、そんなときに「自分が自分になる」ということを、深く考えさせてくれる本です。

この本は、カール・ロジャーズという心理学者・カウンセラーの生涯や思想、カウンセリングの考え方を紹介する入門書です。

ただの理論解説だけではなく、ロジャーズという人がどのように生き、どのように「自分自身になること」を考えてきたのかをたどっていく本でもあります。

Take a stepで大切にしている「自分を責めすぎないこと」や「自分を受けとめ直すこと」とも、とても近いところにある一冊だと思っています。

ロジャーズの考え方に触れる入門書

カール・ロジャーズは、カウンセリングや心理療法の領域で大きな影響を与えた人物です。

この本では、ロジャーズの生涯、思想形成、カウンセリングの理論と実践が紹介されています。

難しい専門書というより、ロジャーズという人の歩みをたどりながら、その考え方に触れていく本です。

もちろん、内容はしっかりしています。

軽いエッセイのようにさらっと読む本ではありません。

でも、カウンセリングや心理学に関心がある人にとっては、ロジャーズの考え方を知る入口として読みやすい本だと思います。

特に印象に残るのは「自分が自分になる」という言葉です。

これは、ただ好き勝手に生きるという意味ではないと思います。

人に合わせるために自分を押し殺すのではなく、自分の中にある感情や願いに少しずつ気づいていくこと。

自分に起きていることを否定せず、受けとめ直していくこと。

そういう方向に近い言葉として、私は受け取りました。

自分を受けとめることは、甘やかしではない

自分を受けとめるというと、少し甘い言葉のように聞こえるかもしれません。

でも、本当に自分を受けとめることは、簡単ではありません。

見たくない感情もあります。

認めたくない弱さもあります。

怒りや悲しみ、嫉妬、不安、寂しさのように、できればなかったことにしたい気持ちもあります。

そういうものを全部きれいにするのではなく「今、自分の中にはこういうものがある」と見ていく。

それは、かなり勇気のいることだと思います。

ロジャーズの考え方に触れていると、人は無理やり変えられるものではなく、自分の内側にあるものを少しずつ見つめ、受けとめていく中で変わっていくのかもしれないと感じます。

だから、自分を受けとめることは、何もしないことではありません。

自分を責める力で変えようとするのではなく、自分を理解する力で少しずつ変わっていくこと。

その違いを考えるためにも、この本は大切な視点をくれます。

「こうあるべき」から少し離れる

人は、いろいろな「こうあるべき」を抱えています。

強くあるべき。

明るくあるべき。

ちゃんとしているべき。

迷惑をかけないべき。

いつも前向きであるべき。

そうした言葉に縛られていると、自分の本当の感覚から少しずつ離れていきます。

本当は疲れているのに、まだ大丈夫だと思い込もうとする。

本当は嫌なのに、嫌だと言えない。

本当は悲しいのに、悲しくないふりをする。

それが続くと、自分の気持ちがわからなくなってしまいます。

この本を読んでいると「自分になる」ということは、何か特別な自分になることではなく、自分の中にすでにある感覚に戻っていくことなのかもしれないと思います。

立派な自分になることではなく、無理に作った自分を少しずつほどいていくこと。

そういう意味で、この本はとても静かに深い本です。

人を支えるまなざしについて考える

この本は、自分自身について考える本でもありますが、人と関わるときの姿勢についても考えさせられます。

誰かがつらそうにしているとき、私たちはついアドバイスをしたくなります。

早く元気になってほしい。

考え方を変えた方がいい。

そんなふうに言いたくなることがあります。

もちろん、助けたい気持ちから出てくる言葉です。

でも、相手が本当に必要としているのは、すぐに正解を渡されることではなく、まず自分の気持ちを受けとめてもらうことかもしれません。

話を聞いてもらうこと。

否定されずにそこにいられること。

無理に変えられようとしないこと。

そういう関わりが、人の中にある力を少しずつ取り戻す支えになることがあります。

この本は、誰かを支えるとはどういうことなのか、自分が誰かに支えられるとはどういうことなのかを考えるきっかけにもなります。

この本が合いそうな人

  • 自分を受けとめることについて、深く考えたい人
  • カール・ロジャーズやカウンセリングに関心がある人
  • 人に合わせすぎて、自分の気持ちがわからなくなる人
  • 自分を責めることで変わろうとして疲れてしまった人
  • 人を支える関わり方について考えたい人
  • 心理学を、やさしい言葉だけではなく少し深く学びたい人

読むときに気をつけたいこと

この本は、気軽な自己啓発書というより、ロジャーズの人生と思想、カウンセリングの考え方をたどる本です。

そのため、心がかなり疲れているときに一気に読むと、少し重く感じるかもしれません。

また「自分が自分になる」という言葉は、簡単なようで、とても深い言葉です。

すぐに答えを出そうとしなくて大丈夫です。

今の自分に響くところだけ読む。

少し引っかかった言葉を残しておく。

わからないところは、いったんそのままにしておく。

そういう読み方でいいと思います。

そして、この本は医療的な診断や治療の代わりになるものではありません。

不安や落ち込み、人間関係の苦しさが強く、生活に大きな影響が出ている場合は、医療機関や専門機関へ相談することも大切です。

Take a stepとしての感想

この本の良さは「自分を変えなければいけない」と急かさないところにあると思います。

もっと強くならなければ。

もっと前向きにならなければ。

もっと正しく生きなければ。

そういう方向ではなく、まず自分に起きていることに気づいていく。

自分の感情や願いを、すぐに否定しない。

本当は何を感じているのか、少しずつ見ていく。

そこからしか始まらない変化があるのだと思います。

Take a stepでは「自分を責めすぎないこと」を大切にしています。

その言葉は、ただ自分に甘くするという意味ではありません。

責めることでしか自分を動かせない状態から、少し離れてみること。

自分の内側にあるものを、もう少し丁寧に見てみること。

この本は、そのための静かな土台になる一冊だと思います。

人に合わせすぎて、自分が見えなくなっているとき。

自分を責めることで、なんとか変わろうとして疲れているとき。

この本は「自分が自分になる」ということを、少し深いところから考え直すきっかけをくれます。