双極症

双極症について、自己判断だけで抱え込まないために知っておきたいこと

双極症は、ただの気分の波とは違います。自己判断だけで決めつけず、気分の波が生活に影響しているときは医療機関や相談窓口につながることが大切です。診断や治療の代わりではなく、ひとりで抱え込まないための入口としてまとめました。

双極症について自己判断だけで抱え込まないために、気分の波を少し離れて見つめるイメージ

気分の波があるとき、自分のことがわからなくなることがあります。

急に元気になったり。

逆に、何もできないほど落ち込んだり。

眠らなくても動ける時期があったり。

そのあと、強い疲れや落ち込みがやってきたり。

そんな状態があると、「これは性格なのか」「ただの気分の波なのか」「もしかして病気なのか」と不安になることがあります。

双極症は、軽く扱ってよいテーマではありません。

同時に、怖がらせるためだけに語るものでもありません。

大切なのは、自己判断だけで抱え込まないことです。

この記事では、双極症について、Take a stepらしくやさしく、でも曖昧にしすぎずに整理していきます。

双極症は、ただの気分の波とは違う

人には誰でも、気分の波があります。

うれしいことがあれば気分が上がります。

嫌なことがあれば落ち込みます。

疲れていれば、いつもより元気が出ない日もあります。

それ自体は自然なことです。

でも、双極症でいう気分の波は、日常の中で誰にでもある浮き沈みとは少し違います。

気分、活動量、睡眠、考え方、行動の変化が大きくなり、生活や人間関係、仕事、お金の使い方などに影響が出ることがあります。

本人にとっては「調子がいいだけ」と感じる時期でも、周囲から見ると、いつもと違う行動に見えることがあります。

逆に、うつ状態の時期には、強い落ち込みや疲労感、何もできない感覚が出て、日常生活がとても重くなることがあります。

だから、気分の波があるからといって、すぐに双極症だと決めることはできません。

一方で、「自分の性格が弱いだけ」と片づけてしまうのも危険です。

気になる波が続いているなら、自己判断だけで抱え込まず、専門家に相談することが大切です。

躁状態・軽躁状態・うつ状態という波がある

双極症では、気分が高ぶる時期と、気分が深く落ち込む時期が問題になります。

気分が高ぶる時期には、躁状態や軽躁状態と呼ばれる状態があります。

たとえば、眠らなくても平気に感じる。

考えがどんどん浮かぶ。

話し続けてしまう。

活動的になりすぎる。

自分なら何でもできるように感じる。

お金の使い方や人間関係で、普段とは違う行動が増える。

そうした変化が出ることがあります。

ただし、ここで大切なのは、症状の名前を自分に当てはめて決めつけないことです。

似たように見える状態でも、背景には睡眠不足、ストレス、他の病気、薬やアルコールの影響など、さまざまな要因が関係することがあります。

うつ状態の時期には、気分の落ち込み、興味の低下、強い疲れ、眠れない、または眠りすぎる、食欲の変化、自分を責める気持ちなどが出ることがあります。

このうつ状態だけを見ると、うつ病のように見えることもあります。

だからこそ、過去に気分が上がりすぎた時期がなかったか、睡眠や活動量が大きく変化した時期がなかったかを、専門家と一緒に丁寧に見ていくことが大切です。

本人が気づきにくい時期がある

双極症で難しいところは、本人が気づきにくい時期があることです。

うつ状態のときは、つらさがはっきりしているので、「何かおかしい」と感じやすいかもしれません。

でも、躁状態や軽躁状態のときは、本人にとっては調子がよく感じられることがあります。

頭がよく回る。

いつもより動ける。

人と話すのが楽しい。

新しいことをどんどん始めたくなる。

そう感じると、「やっと元気になった」と思うことがあります。

もちろん、元気な日があること自体は悪いことではありません。

ただ、睡眠が極端に減っているのに疲れを感じない、普段ならしないような大きな決断をする、人とのトラブルが増える、お金の使い方が大きく変わるなどがある場合は、少し立ち止まって見る必要があります。

本人が気づきにくいからこそ、周囲の人の気づきが助けになることもあります。

責めるためではなく、早めに支援につながるためです。

自己判断だけで決めないことが大切

インターネットで調べると、双極症に関する情報はたくさん出てきます。

チェックリストのようなものを見ると、自分に当てはまる気がすることもあります。

逆に、当てはまらないから大丈夫だと思うこともあります。

でも、双極症かどうかは、自己判断だけで決められるものではありません。

症状の出方、続いた期間、生活への影響、これまでの経過、家族歴、体の病気や薬の影響など、専門家が総合的に見て判断するものです。

また、双極症は、うつ病や不安症、発達特性、睡眠の問題、アルコールや薬の影響などと見分けが難しいこともあります。

だから、気になる状態があるなら、「自分は双極症だ」と決めつけるのではなく、「気分の波について相談してみる」という形で医療機関につながるのが安全です。

相談するときは、うつ状態のつらさだけでなく、過去に気分が上がりすぎた時期や、眠らなくても動けた時期があれば、それも伝えることが大切です。

治療や支援につながることは、自分を責めることではない

双極症は、気合いでどうにかするものではありません。

性格の弱さでもありません。

適切な治療や支援につながることで、症状と付き合いやすくなる可能性があります。

治療には、薬物療法、心理教育、心理社会的支援、生活リズムの調整、再発のサインを知ることなどが含まれることがあります。

どのような治療や支援が必要かは、その人の状態によって違います。

だからこそ、自己流で何とかしようとしすぎないことが大切です。

医療機関につながることは、負けではありません。

弱さの証明でもありません。

自分の状態を理解し、これからの生活を守るための選択です。

双極症の診断を受けた場合も、それで人生が終わるわけではありません。

状態を知り、治療や支援を受けながら、自分なりの暮らし方を整えていくことはできます。

薬のことは自己判断で変えない

双極症に関する情報で、特に慎重に扱いたいのが薬のことです。

調子がよくなると、「もう薬はいらないのでは」と感じることがあります。

副作用がつらいと、「やめたい」と思うこともあります。

逆に、落ち込みが強いときには、「もっと薬を増やした方がいいのでは」と不安になることもあります。

でも、薬の調整や中止は、自己判断で行わないでください。

服薬中の方は、必ず主治医に相談してください。

薬が合わないと感じるときも、勝手にやめるのではなく、何がつらいのか、いつからつらいのか、どんな変化があるのかを記録して、診察で伝えることが大切です。

薬について不安があることは、悪いことではありません。

大切なのは、その不安をひとりで処理しようとしないことです。

医師や薬剤師に相談しながら、安全に考えていく必要があります。

日々の記録が助けになることがある

双極症や気分の波と向き合ううえで、日々の記録が助けになることがあります。

これは、自己診断のためではありません。

自分の状態を少し見えやすくし、医師や支援者に伝えやすくするためです。

たとえば、次のようなことを簡単に記録します。

  • 睡眠時間
  • 気分の上下
  • 活動量
  • 食欲
  • 飲酒の有無
  • 大きな出来事やストレス
  • 薬を飲んだかどうか

きれいに書く必要はありません。

毎日完璧に続ける必要もありません。

少しでも記録があると、「最近眠れていない」「活動量が急に増えている」「落ち込みが続いている」など、あとから見えやすくなります。

気分の波は、その最中にいると客観的に見えにくいことがあります。

だから、記録は自分を責めるためではなく、自分を守るための手がかりとして使います。

身近な人にできること

身近な人が双極症かもしれない、または診断を受けている場合、周囲の人も戸惑うことがあります。

どう声をかければいいのか。

どこまで見守ればいいのか。

何をしたら逆効果なのか。

わからなくなることがあります。

まず大切なのは、本人を責めないことです。

そして、すべてを家族や身近な人だけで抱え込まないことです。

気分の波が大きいとき、本人だけでなく、周囲の人も疲れてしまうことがあります。

だから、医療機関、相談窓口、地域の支援、家族向けの情報などにつながることも大切です。

また、本人が調子のよい時期に、調子が崩れたときのサインや相談先、困ったときにどうするかを話し合っておくと、あとで助けになることがあります。

ただし、無理に説得したり、責めたり、本人のすべてを管理しようとしたりすると、関係が苦しくなることもあります。

支える側にも、支えが必要です。

双極症について考えるときは、診断や治療の情報だけでなく、不安、自動思考、自分を責めすぎないことについても整理しておくと、少し見通しが持ちやすくなることがあります。

このサイトでは、不安や恐怖を感じる自分を責めすぎないこと、考えすぎて動けないときの小さな一歩、自分を受けとめ直すことについての記事も書いています。

また、私自身の体験をもとにしたKindle本『あなたらしく生きていいんです!』では、不安、自動思考、自己受容、価値観についてまとめています。

ただし、どの記事や本も、診断や治療の代わりではありません。

双極症が気になる場合や、気分の波で生活に支障が出ている場合は、医療機関や相談窓口につながってください。

気分の波がある自分を、ひとりで責めすぎないために

気分の波があると、自分を責めてしまうことがあります。

なぜ安定できないのだろう。

なぜ同じことを繰り返してしまうのだろう。

なぜ普通にできないのだろう。

そんな言葉が、頭の中に浮かぶことがあります。

でも、気分の波があることを、性格の弱さだけで片づけないでください。

つらさが続いているなら、助けを求めていいのです。

気分の波が生活に影響しているなら、相談していいのです。

診断がつくかどうかを、自分ひとりで決めなくて大丈夫です。

大切なのは、ひとりで抱え込みすぎないこと。

自己判断だけで、薬や治療を変えないこと。

そして、気分の波がある自分を、これ以上責めすぎないことです。

双極症について知ることは、自分を決めつけるためではありません。

自分の状態を少し理解し、必要な支援につながるための入口です。

少しづつで大丈夫です。

ひとりで抱え込まないための一歩から始めてください。

参考にした情報

この記事は、以下の公的機関・医療情報機関の情報を参考にしながら、Take a stepの読み物としてまとめています。

参考情報は、診断や治療の代わりではありません。双極症が気になる場合や、気分の波によって日常生活に支障が出ている場合は、自己判断だけで抱え込まず、医療機関や相談窓口、信頼できる専門家へ相談してください。

服薬中の方は、薬の調整や中止を自己判断で行わず、必ず主治医や薬剤師に相談してください。