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Journey 01|地球が生まれる

宇宙で生まれた元素が集まり、太陽系と地球、月、水、大気、動く大地へつながるまでを一本の時間軸でたどります。生命へ続く環境は、完成した地球ではなく、変化の途中で形づくられました。

私たちが立つ場所は、どのように宇宙から生まれたのか

足元の地面は、動いていないように見えます。夜空に浮かぶ月も、海も、空気も、地球が地球になったときから、そこにあったように感じられます。

実際には、どれも最初から現在の姿でそろっていたわけではありません。生まれ、失われ、加わり、混ざり、長い時間をかけて変化してきました。

私たちの物語は、地球の誕生からさえ始まりません。地球をつくる材料が、まだ宇宙のどこにも十分にそろっていなかった時代まで遡ります。

EVIDENCE|地球より先に、その材料が生まれていた

宇宙が始まって間もない時代に主に生まれたのは、水素とヘリウム、そしてごく少量のリチウムでした。現在の岩石や身体をつくる炭素、酸素、鉄などは、その後に現れた星の内部や、星が終わりを迎える過程で形づくられていきました。[1]

鉄より重い元素の一部には、超新星爆発や中性子星どうしの合体など、さらに激しい現象が関わったと考えられています。すべての元素が、一つの星や一度の爆発から生まれたわけではありません。

私たちの身体にある物質も、同じ場所から一度に届いたものではありません。異なる時代と異なる天体の歴史を通り、宇宙へ戻され、別の物質と混ざりながら、現在の地球へつながってきました。

ただし、材料が存在することと、生命が生まれることは同じではありません。炭素や酸素があっても、それだけで細胞ができるわけではないからです。次に必要だったのは、それらの物質が集まり、長く反応を続けられる場所でした。

散らばった物質が、太陽と地球になった

およそ46億年前、ガスと塵を含む雲の一部が重力によって縮み始めました。中心には物質が集まり、やがて太陽が生まれます。その周囲には、回転する円盤状の物質が残りました。[2]

円盤の中では、小さな粒がぶつかり、集まり、さらに大きな天体へ成長していきました。ただ、衝突すればいつも一つになるわけではありません。砕けることも、跳ね返ることも、軌道を変えることもあります。惑星ができるまでの道筋には、現在も解明されていない段階が残っています。

そうした不安定な過程の中から、地球へつながる天体が育ちました。若い地球の内部では、衝突や放射性元素などがもたらす熱によって物質が溶け、密度の高い金属は中心へ、比較的軽い岩石質の物質は外側へ分かれていきました。現在の核、マントル、地殻へつながる違いは、地球が成長する途中で形づくられたものです。

ここに、生命や人間へ向かう決められた道があったわけではありません。衝突の起こり方や残った物質、軌道が違えば、現在とは異なる地球になっていた可能性があります。

ガスと塵の円盤の中で物質が衝突と集積を繰り返し、形成途中の若い地球へ成長していく様子

HYPOTHESIS|月は、大規模な衝突のあとに生まれたのか

若い地球には、その後も大きな衝突が起きました。現在、月の起源については、原始地球と別の大きな天体との衝突を共通の骨格とする説明が、もっとも有力な枠組みになっています。衝突によって地球の周囲へ広がった物質が集まり、月へ成長したという考えです。[3]

ただし、衝突が一度だったのか、月がどの速さでまとまったのか、地球側と衝突天体側の物質がどの割合で混ざったのかについては、複数のモデルがあります。大規模な衝突という骨格が広く支持されていても、出来事の細部まで確定しているわけではありません。

OPEN QUESTION|地球の水は、どこからどれだけ来たのか

地球の水も、一つの供給源だけでは説明できません。地球をつくった内側の太陽系の物質に、水の原料となる水素が含まれていたことを示す研究があります。その一方で、形成中や形成後の地球へ、水や含水鉱物を持つ小天体が物質を加えた証拠もあります。[4][5]

地球の材料に含まれていた水素、地球内部から放出された成分、小惑星や彗星が運んだ物質が、それぞれ現在の海へどの程度寄与したのかは、まだ定まっていません。現時点で言えるのは、地球の水を単一の経路だけに帰すことは難しいということです。

大気も、地球の誕生と同時に現在の状態で現れたものではありません。地球内部から放出されたガス、天体衝突、宇宙空間への散逸、その後の生命活動などが重なり、組成は長い時間の中で変化しました。私たちが呼吸している酸素に富む大気は、光合成を行う生命の活動を含む、さらに後の歴史によって形づくられたものです。

月は潮汐や地球の自転へ、水と大気は海や地表の温度、化学反応へ、それぞれ異なる形で関わってきました。生命が始まり得る環境は、一つの出来事によって完成したのではなく、複数の変化が重なる中で現れていきました。

月のある若い地球で、蒸気と水と岩石が変化を続けている様子

EVIDENCE|固まったように見える大地も、動いている

地球の表面は、一枚の動かない殻ではありません。複数のプレートに分かれ、現在も異なる方向へ移動しています。その動きは、衛星測位によって直接測ることができます。[6]

海の底では新しい地殻がつくられ、別の場所では古い海洋プレートが地球内部へ沈み込みます。海底に残る年代や磁気の記録、地震や火山の分布も、大地が長い時間をかけて動いてきたことを示しています。

沈み込むプレートは、岩石だけを運ぶのではありません。水や炭素を含む物質も地下へ運び、その一部は火山活動などを通して再び地表へ戻ります。地球は、表面と内部の間で物質を巡らせながら変化を続けてきました。

私たちが安定した地面と呼んでいるものも、地球の時間で見れば途中の姿です。

OPEN QUESTION|現在のような地球の動きは、いつ始まったのか

現在のプレート運動が観測できる一方で、同じ仕組みが地球の最初から働いていたかどうかは、まだ決着していません。

40億〜36億年前の大陸地殻が、現在の沈み込みに似た深い環境で形づくられた可能性を支持する研究があります。その一方で、古い大陸地殻の一部は、初期地殻の内部で起きた分化や融解によっても説明できるという研究があります。[7][8]

古い地球の岩石は、その後の変形や再加熱、沈み込みによって失われてきました。残された証拠が限られているため、局地的な沈み込みに似た動きがいつ始まったのか、現在のように地球規模でつながったプレートテクトニクスがいつ成立したのかを、一つの年代に決めることはできません。[9]

さらに、大地の循環が生命の環境を変えてきたことと、現在型のプレート運動が生命誕生の絶対条件だったことも、分けて考える必要があります。関係が深いことは、どちらか一方がなければもう一方が存在できないことを意味しません。

地球は、条件が整いきる前から変わり続けていた

地球は、生命が登場する日を待ちながら、完成へ近づいていった星ではありません。

衝突が続き、海と大気が姿を変え、大地が動き、地球内部と表面の間を物質が巡っていました。比較的穏やかな時期もあれば、環境が大きく変わった時期もあります。その途中に、水と岩石と気体が触れ合い、さまざまな化学反応が繰り返される場所が生まれました。

私たちの身体も、この長い循環の外にあるものではありません。宇宙で生まれた元素を受け取り、地球の水や大気、岩石との関わりの中で続いてきた生命の、その先にあります。

生命へ続く条件は、すべてがそろってから置かれたのではなく、変化の中で少しずつ重なっていった。

Journey 01で見えてきたのは、安定した完成品としての地球ではなく、材料と環境を組み替え続ける地球です。

では、岩石と水と気体が動き続ける世界で、化学反応はどこから生命になったのでしょう。

次のJourneyでは、深い海、浅い水辺、氷、鉱物の表面など、生命の始まりが起きたかもしれない場所をたどります。

この旅をさらに深く読む

出典・参考文献

  1. NASA Science
    What Were the First Stars Like?
    (閲覧日:2026年8月6日)
  2. NASA Science
    Solar System: Facts

    Planetary Systems
    (閲覧日:2026年8月6日)
  3. Zhou, Y., Bi, R. & Liu, Y.(2024)
    Research Advances in the Giant Impact Hypothesis of Moon Formation.
    Space: Science & Technology, 4, 0153.
  4. Piani, L. et al.(2020)
    Earth’s water may have been inherited from material similar to enstatite chondrite meteorites.
    Science, 369, 1110–1113.
  5. Piani, L., Yurimoto, H. & Remusat, L.(2018)
    A dual origin for water in carbonaceous asteroids revealed by CM chondrites.
    Nature Astronomy, 2, 317–323.
  6. U.S. Geological Survey
    How fast do tectonic plates move?
    (閲覧日:2026年8月6日)
  7. Hastie, A. R. et al.(2023)
    Deep formation of Earth’s earliest continental crust consistent with subduction.
    Nature Geoscience, 16, 816–821.
  8. Smit, M. A., Musiyachenko, K. A. & Goumans, J.(2024)
    Archaean continental crust formed from mafic cumulates.
    Nature Communications, 15, 692.
  9. Holder, R. M. et al.(2019)
    Metamorphism and the evolution of plate tectonics.
    Nature, 572, 378–381.