過去の経験からくる不安にどう対応するか
私たちはどうしても過去の出来事を思い出して不安になってしまいます。
いじめられたことや叱られたこと。ひどい言葉で傷つけられたり、何らかの犯罪や災害などの被害に遭ったり。
こうした過去の出来事や経験の積み重ねが私たちを作っています。
しかし、それらに縛られる必要はありません。
大切なのは
「過去の積み重ねではなく いまからを積み重ねていく」こと。
そのために私たちにできることはなんでしょうか。
目次
過去は変えられない
過去の出来事は、いまとなってはどうすることもできません。
例え100年悩み続けたとしても、過去を変えることはできないんです。
そうはいっても思い悩み、不安になってしまうのは仕方ありませんし、それが正常な反応です。
大切なのは、過去の出来事が不安と一緒に蘇ってきたときの捉え方です。
ただ闇雲に恐れるのではなく、客観的に観察してみます。
不安の正体を見定める
現在湧き上がっている不安は、果たしてその過去の出来事のせいなのか。
多くの場合、別の理由によって不安が湧き上がり、その不安の原因として過去の出来事を引っ張り出してくることがあります。
例えば、イベントなどで初対面の人と交流したいと思ったとします。
こちらから声を掛ければ済む話なのですが、緊張してしまい、どうしようかと悩んでいたりすると、ふと過去の出来事が思い出されたりします。
「小学生の時にいじめられた」とか。
そのことを原因として「だから私は人付き合いが苦手なんだ」と思ってしまい、結局、話しかけられずに、孤立してしまう。
この場合の「小学生の時にいじめられた」ことは過去に起こった事実としてこころの中に存在していますが、いまとなってはどうすることもできません。
そのどうすることもできない事柄をコントロールしようとしているために不安が続いてしまいます。
この「いまとなってはどうすることもできない」こと「コントロールできない」ことを客観的に理解し、「コントロールできること」へと意識を向けることが大切です。
具体的には、まず「小学生の時にいじめられた」ことがある人全員が、人付き合いを苦手と感じているでしょうか。
決してそんなことはありませんよね。
ですので「いじめられた」=「人付き合いが苦手」ではないということを、事実として認識します。
書き出して整理する
そして、現在不安に思っている事柄を書き出してみます。
・なにを話せばいいのか
・会話が途切れたらどうしよう
・嫌な顔をされるんじゃないか
・変なやつだと思われるんじゃないか…etc
その中に過去の出来事や他人が関係する事柄を見つけ、それらはコントロールできないことと認識します。
この場合は
・嫌な顔をされるんじゃないか
・変なやつだと思われるんじゃないか
この2つがコントロールできないことです。
過去の出来事と同様に、他人の行動や考えをコントロールすることはできません。
ですので、そこは「考えても仕方のないこと」という事実をしっかりと理解し認識します。
コントロールできるもの
そうしてひとつづつ認識していくと、自分でコントロールできるものが残ります。
それは「考え」であったり「行動」であったりします。
それらに対して客観的に向き合います。
この場合は
・なにを話せばいいのか
・会話が途切れたらどうしよう
この2つです。
どちらもあなた自身で決めることができる、つまりコントロールできることです。
会話の内容は事前に決めておけますよね。
簡単な自己紹介から参加したイベントについてなど。
万が一、会話が途切れた場合でも、事前にいくつか話題を用意しておくと慌てないで済みます。
同じようなイベントを知っているかと聞いてみたり、逆に教えてあげたりなど。
このように、コントロールできないことではなく、コントロールできることだけに集中して行動を起こします。
言葉集め
そうはいっても、初対面の人に話しかけるなんて緊張してしまいますよね。
そんな時のために、あなたの緊張を和らげる「言葉集め」をしておきましょう。
あなたが大切に思っている人が、あなたと同じ悩みを持っていたらなんと声をかけてあげますか?
「大丈夫。きっとうまくいくよ」「焦ることないよ。ゆっくりでいいんだから」「それは大変だよね。でもあなたなら大丈夫」「できることからやってみよう」
こんな風に声をかけてあげますよね。
こうして集めた言葉を、あなたがあなた自身に声をかけてあげます。
こうして声がけをしていると、客観的に捉えられるようになってきます。
現在の状況を客観的に観察し、いまなにをすべきかを冷静に判断します。
私たちは過去の出来事や経験から作られていますが、大切なのは過去に縛られることではなく、コントロールできることと、コントロールできないこととを認識して「いまからを積み重ねていく」ことなんです。