落ち込み

うつ症状について

昼下がりの弱い自然光が入る静かな寝室で、整えきれていない生成りの毛布と、床に少し離れて置かれた淡いグリーンのスリッパが写っている写真風の画像。
昼下がりの弱い自然光が入る静かな寝室で、整えきれていない生成りの毛布と、床に少し離れて置かれた淡いグリーンのスリッパが写っている写真風の画像。

気分の上がり下がりは誰でも経験することですが、なぜ大きく落ち込み、うつ症状を発症する人としない人がいるのでしょうか。

うつ症状が起きるきっかけや性格などについて、少し整理しながら考えてみましょう。

うつ症状は、決して特別な人だけに起きるものではありません。
誰にでも起こりうるものですし、最初の段階では自分でも気づきにくいことがあります。

だからこそ、きっかけや考え方の傾向を知っておくことは、とても大切なんです。

うつ症状が起きるきっかけとメカニズム

うつ症状は、早期発見が難しく、「ちょっと調子が悪いだけ」と自分をごまかしたり、精神的な問題を抱えていると他人に知られまいとする気持ちが、発見をさらに遅らせたりします。

そのため、重い症状へ移行してしまう人も少なくありません。

自分や大切な人のうつ症状を見逃さないためにも、まずはきっかけやメカニズムについて考えてみます。

うつ症状が起きるきっかけ

うつ症状が起きるきっかけは、人によって様々です。

大切な人との別れや、災害や事件・事故、職場での大きな失敗や怪我など。
とてもショッキングな出来事がきっかけになることがあります。

また、結婚や出産、あるいは志望校への合格や会社での昇進など、一見すると幸せな出来事であっても、それが大きな変化となり、こころに負担をかけてしまうことがあります。

「嬉しいことなのに、なぜ苦しくなるのだろう」
と戸惑ってしまうこともあるかも知れません。
でも、人生の大きな変化には、それが良いことであってもエネルギーが必要です。
その負担が積み重なれば、こころが疲れてしまうこともあるんです。

このような人生における大きな出来事以外にも、たまたま遅刻をしてしまった時や、友人に誘いを断られた時、あるいはネットショッピングで洋服のサイズを間違えて購入してしまった時や、スマホを忘れて出掛けてしまった時など、日常のほんの些細な出来事がきっかけになってしまうこともあります。

つまり、「これくらいのことで」と思えるようなことでも、その人の状態や、それまでに抱えてきた疲れによっては、強いストレスとして働くことがあるんです。

ですので、出来事の大きさだけで判断しないことが大切です。

うつ症状が起きるメカニズム

うつ症状が起きるメカニズムとして、1960年代に「モノアミン仮説」が提唱され、これを元に精神薬が開発され、処方されています。

我々の脳では数百億個の神経細胞が情報処理を行っており、情報伝達を行う際に必要なモノアミン類(セロトニン・ノルアドレナリン・アドレナリン・ヒスタミン・ドーパミン等)の分泌異常が主な原因とされています。

また、「コルチゾール仮説」や「神経可塑性仮説」なども提唱されていますが、いずれも「仮説」の域を出ず、根本的なメカニズムは現在も完全には解明されていません。

ですので、「うつは気の持ちよう」と簡単に言えるものではありません。

こころの問題のように見えていても、脳の働きや身体の状態、ストレスの蓄積など、いろいろな要素が複雑に関係していると考えられています。

だからこそ、本人の努力不足や甘えと決めつけてしまうのは危険なんです。

ストレスと性格

ストレス環境に置かれていても、うつ症状を感じない人もいます。

一方で、同じような環境の中でも、大きく落ち込んでしまう人もいます。

その違いには、ストレスの種類や、その人の考え方や性格の傾向が関係していることがあります。

次は、ストレスの種類と性格について考えてみます。

ストレスの分類

ストレスはいくつかに分類できます。

・生物が関係するストレス
ウイルス感染など

・物理的な環境が関係するストレス
騒音や温度・湿度など

・化学的なストレス
薬害や栄養不良など

・精神的なストレス
精神的苦痛・怒りや悲しみ・緊張・人間関係など

こうして見ると、ストレスとひとことで言っても、かなり幅があることがわかります。

現代の日本において、精神的なストレスがうつ症状を引き起こす大きな要因であることは、容易に想像できます。

ですが、精神的なストレスだけを見ていればいいわけでもありません。

睡眠不足や栄養の偏り、身体の不調、環境の変化などが重なって、こころの余裕を奪っていくこともあります。

ですので、「気持ちの問題」だけで片づけず、生活全体を見ていくことも大切です。きます。

うつ症状と性格

最近の研究では、うつ症状を起こしやすい性格傾向があることもわかってきています。

・真面目な性格
何事にも几帳面で、正義感の強い性格の人は、周囲から真面目で信頼できる人と思われることも多く、頼み事に対しても断ることができず、ストレスを抱えてしまうことがあります。

・他人の目を気にする性格
物事の判断基準が自分ではなく他人に向いてしまっているため、何事に対しても周囲の評価を気にしてしまいます。
周囲の目を気にするあまり、神経の休まる暇もなく、強く疲労感を感じることもあります。

・こだわりすぎる性格
昔気質の職人さんのように、自分で作り上げるものには一切の妥協を許さないタイプ。
責任感があり、かっこよくも感じますが、少しの失敗も許せず執着してしまい、そのことがきっかけで、うつ症状を引き起こしてしまうこともあります。

・頑張り屋さんな性格
頑張り屋さんの多くは、ストレスが蓄積していることに気づかず、限界になってはじめてうつ症状を疑いますが、すでに重い症状になっていることも少なくありません。

こうした性格は、悪いものではありません。
むしろ、周囲から見れば長所として受け取られることも多いでしょう。

でも、長所は時に、自分を追い込みやすい要素にもなります。

真面目であること。
頑張れること。
責任感があること。
周囲に気を配れること。

それ自体は素晴らしいことです。
ただ、それが「休めない」「頼れない」「手を抜けない」につながると、こころには大きな負担がかかってしまいます。

これらの性格の人の全てが、うつ症状を起こすわけではありません。

しかし、思い当たる場合は、ストレスを回避したり解消したりする術を身につけ、日頃から心身の状態に気を配ることを強くおすすめいたします。

さいごに

うつ症状は、何かひとつの原因だけで起きるものではありません。

大きな出来事がきっかけになることもあれば、日常の小さな負担が積み重なって起きることもあります。
また、性格の傾向や、ストレスへの向き合い方、生活環境や身体の状態など、いろいろなものが重なり合って起きることがあります。

だからこそ、
「まだ大丈夫」
「このくらい平気」
「気のせいかも知れない」
と無理を重ねてしまうと、気づいた時にはかなりつらい状態になっていることもあります。

大切なのは、自分のこころや身体の変化を軽く見ないことです。

疲れやすい。
眠れない。
気分が落ち込む。
何もしたくない。
好きだったことが楽しめない。

そうしたサインが続いている時は、自分を責めるのではなく、まずは「いま少し無理をしているのかも知れない」と受け止めてあげてください。

そして必要であれば、しっかり休むこと。
ひとりで抱え込まず、相談すること。
早めに専門家へつながること。

それがとても大切なんです。