価値観・自分らしさ

認められたい気持ちで、自分を追い込まないために

認められたい気持ちは自然なものです。比較や、大きく見せること、境界線を消すことに気づき、他人の評価だけに生活を預けない方法を考えます。

やわらかな光が差し込む静かな部屋で、木の机の上に開いたノート、ペン、マグカップ、植物が置かれている写真風の画像。

人から認められたい。

役に立つ人だと思われたい。

すごいと言われたい。

そう思うことは、悪いことではありません。

人は、誰かとの関わりの中で、自分の存在を確かめながら生きています。

ただ、認められることが自分の価値を支える唯一の方法になると、比較をやめられなくなったり、無理をして自分を大きく見せたり、断れないまま疲れたりすることがあります。

この記事では、認められたい気持ちを否定せず、その気持ちに自分の生活をすべて預けないための方法を考えます。

認められたい気持ちは、自然なもの

認められたい気持ちは、承認欲求と呼ばれることがあります。

誰かに受け入れられた経験は、安心や自信につながります。

ですので、

「人の評価なんて気にしない」

と無理に切り離す必要はありません。

問題になるのは、評価を得るために、自分の時間、体力、考え方まで差し出し続けているときです。

破滅への近道その1:ひたすら比べる

少し強い見出しですが、ここでいう「破滅」は、自分を追い込む方向へ進み続けることです。

比較には、自分の位置や目標を知る働きがあります。

でも、上に見える人ばかりを探し、

「自分はまだ足りない」

と確認し続ければ、終わりがありません。

SNSや仕事の成果は、その人の生活の一部分です。

相手の見える結果と、自分の見えない不安まで比べているなら、公平な比較にはなっていません。

比較して苦しくなったときは、誰に勝ちたいのかではなく、自分は何を得たくて比べているのかを見ます。

破滅への近道その2:大きく見せ続ける

認められたい気持ちが強いと、自分を実際より大きく見せたくなることがあります。

できないことを、できると言う。

疲れているのに、余裕があるふりをする。

失敗や弱さを隠し続ける。

その場では評価を得られても、見せている自分を維持するために、さらに無理が必要になります。

すべてをさらけ出す必要はありません。

ただ、できないことまで引き受けず、わからないことを「わからない」と言える場所を少し持ちます。

破滅への近道その3:境界線を消す

役に立つ人だと思われたくて、頼まれごとを断れなくなることがあります。

無理な予定を引き受ける。

相手の問題まで、自分の責任にする。

嫌な扱いを受けても、関係が壊れるのが怖くて黙る。

心理学では、自分と相手のあいだで、どこまで引き受け、どこから断るのかを示す線を「境界線」や「バウンダリー」と呼びます。

境界線は、相手を拒絶するためだけのものではありません。

関係の中で、自分が無理なく担える範囲を伝えるためのものです。

「今は引き受けられません」

「ここまでならできます」

と伝えることも、関係を続けるための調整です。

認められるための行動を見直す

何かを頑張っているときは、次のように確認してみます。

  • 誰にも褒められなくても、続けたいことか
  • 今の負担を払ってまで、得たい評価なのか
  • 断ったら、本当に自分の価値がなくなるのか
  • 認められたい相手は、自分を大切に扱っているか

評価を求めることが悪いのではありません。

得られる評価と、そのために失っているものを一緒に見ます。

自分の基準を少し取り戻す

他人の評価から完全に自由になることは難しいものです。

それでも、評価とは別に、自分の基準を持つことはできます。

自分なりに丁寧にできた。

無理なことを断れた。

家族との時間を守れた。

疲れている日に休めた。

ここでは、ACTで使われる「価値観」の考え方が役立ちます。

価値観とは、人から高く評価される目標ではなく、自分がどのような方向で生きたいかを示すものです。

誰にどう見られるかだけでなく、今日の行動が、自分の大切にしたい方向へ向いていたかを確かめます。

つらさが強いときは、支えを借りる

評価を得るために休めない、断れない、生活が崩れている、危険な関係から離れられないといった状態が続く場合は、ひとりで何とかしようとしないでください。

医療機関、相談窓口、カウンセラーなど、状況に合った相手へ相談します。

暴力や脅しなどがある場合は、相手に認めてもらうことより、安全を優先してください。

人に合わせすぎて、自分がわからなくなるときでは、境界線と価値観を使って選び直す方法をまとめています。

自己受容が難しいときに起こりやすいことでは、他人の評価を優先しすぎるときに起こりやすい反応を紹介しています。

『嫌われる勇気』は、人の評価と自分の課題を分ける視点について考える本です。

自分の欲求を敵にしなくていい

認められたい気持ちは、人と関わってきた自分の一部です。

消そうとするのではなく、その気持ちが自分をどこへ連れていこうとしているのかを見ます。

評価を得るために無理を続けるのか。

大切にしたいものを守りながら、人との関係も選ぶのか。

認められたい気持ちはそっと横に置いたまま、相手の評価だけでなく、自分の基準も含めて一歩を選べます。