自己受容

自らの欲求で破滅する方法

やわらかな光が差し込む静かな部屋で、木の机の上に開いたノート、ペン、マグカップ、植物が置かれている写真風の画像。
やわらかな光が差し込む静かな部屋で、木の机の上に開いたノート、ペン、マグカップ、植物が置かれている写真風の画像。

今回は、自分自身が持っている様々な欲求のうちのひとつを駆使して、自ら破滅する方法をご紹介いたします。

少々物騒なテーマですが、もちろん破滅しないための対策もご紹介いたします。

人は誰しも、何かしらの欲求を持って生きています。
食べたい・眠りたい・安心したい・愛されたい・認められたい。

そうした欲求そのものは、決して悪いものではありません。

ですが、その使い方を間違えると、自分で自分を苦しめてしまうことがあります。

今回はその中でも、特に私たちを振り回しやすい「自尊・承認の欲求」に注目してみましょう。

欲求階層説

心理学者のアブラハム・ハロルド・マズローが理論化した「人間の欲求の階層」は、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

「生理的欲求」から始まって「安全の欲求」「愛情・所属の欲求」「自尊・承認の欲求」「自己実現欲求」の5つに分かれていて「生理的欲求」から順々に満たされていくものであり、途中の欲求が満たされないと次の欲求は充分に満たされない、と言われています。

この中に登場する欲求の中から、今回は「自尊・承認の欲求」を用いて破滅する方法をご紹介いたします。

自尊・承認の欲求とは

「自尊・承認の欲求」を簡単にいうなら、

「私を認めて!」
「価値のある存在だと認めて!」

という欲求のことです。

この欲求はもちろん誰にでもありますし、自らの行動の結果を他人に認めてもらうことは、モチベーションの維持にもつながりますし、更なる成長を目指すきっかけや励みにもなります。

つまり、この欲求自体は悪者ではありません。

問題なのは、それをどこで、どのように満たそうとするかです。

ここを間違えると、認められたい気持ちが、少しずつ自分を追い詰めていくことがあります。

破滅の方法その1

「自尊・承認の欲求」を活用しながら破滅する方法のひとつ目は「ひたすら他人と比べる」ことです。

これは非常に便利です。

なぜなら、他人と比べる限り、あなたはいつまでも安心したり、落ち込んだりを繰り返しながら、安定的に消耗していけるからです。

自分と他人を比べる際に、自分よりも劣っていると思われる存在を用いる場合は、大いに油断しましょう。

油断し、
「あいつよりはマシだから全然平気」
と思うことで自尊欲求を満たし、自分自身に甘くなれます。

ところがしばらくすると、自分よりも劣っていたはずの人と同じレベルになってしまうことがありますので、その時は更に劣っている人を見つけて自尊欲求を満たすように努めます。

これを繰り返していくと、やがて自分よりも劣っている人を見つけられなくなります。

ここまでくれば、あなたは価値のない人間として承認され、誰からも邪魔されることなく破滅できます。

では、自分よりも優れている存在を用いる場合はどうでしょうか。

この場合は、できるだけ手の届かないような存在を比較対象にします。
そしてその対象との違いを明確に理解します。

やはりオススメは収入です。
あなたの収入と対象者の収入を比べてみましょう。

あなたの生涯年収が対象者の1年間の収入だったりすると、とても落ち込むことができます。

しかしこれだけでは完璧ではありませんので、できるだけ多くの対象者との比較を継続して行い、自分の不甲斐なさを思い知ることが大切です。

このように、自分よりも優れている人との比較を続けることで、徐々にモチベーションが下がっていき、破滅へと導いてくれるでしょう。

しかも厄介なのは、比較には終わりがないということです。

ひとりに勝ったところで、また別の誰かが現れます。
ひとりに負けたところで、また別の誰かにも負けているような気がしてきます。

つまり、比較を基準に生きる限り、安心は長続きしません。

少しの優越感を得てもすぐに不安がやってきて、ちょっと頑張ってもすぐに別の誰かと比べて苦しくなります。

これを続けていけば、こころはなかなか見事に消耗していきます。

破滅の方法その2

「自尊・承認の欲求」を活用しながら破滅する方法のふたつ目は「自分を偉く見せる」ことです。

ブランド品や高級車・海外旅行や高級レストランでの豪華な食事。
これらを金に糸目を付けず、率先して手に入れます。

そしてそれらを友人に自慢したり、SNSやブログなどで拡散します。

多くの人から
「すごいね」
と言ってもらえて「自尊・承認の欲求」だけでなく「自己顕示欲」まで満たせてしまいます。

重要なのは、それを継続することです。

ところが、毎日毎日継続して行うことで、次第に周囲から相手にされなくなってきます。

こうなってくると、
「もっとすごいと思われなきゃ!」
といった感情が湧き出してきますので、素直に従い、更にお金を使ってゴージャスに見せます。

できるだけ借金をして(もちろん借金は内緒)他人を驚かせ、うらやましがられる存在を目指します。

最初はなかなか難しいですが、これを繰り返すことで、次第にメンタルがやられるだけでなく、破産して破滅へと向かうことができます。

しかも、この方法の優れているところは、外から見ると一見うまくいっているように見えることです。

本人だけが無理をしている。
本人だけが苦しくなっている。
本人だけが「この状態を維持しなければ」と追い詰められていく。

見栄は、張っている間は自分を大きく見せてくれますが、そのぶん中身とのズレが大きくなっていきます。

そのズレを埋めるために、さらに無理をする。
さらにお金を使う。
さらに派手に見せる。

こうして、認められたいという欲求が、気づけば自分をすり減らす装置になってしまうんです。

自らの欲求で破滅しない方法

ここからは「自尊・承認の欲求」に振り回されずに、破滅を回避する方法をご紹介いたします。

破滅しない方法

「他人と比べない」ことが、なにより大切です。

マズローのいう「自尊・承認の欲求」とは、あくまでも「結果的」に承認され、満たされるものであり、自ら進んで他人に対して承認を求めるものではないと考えます。

自分と他人とを比べることが当たり前のようになると、必ず出てくるのが
「〇〇しなきゃ!」
です。

例えば、
「あの漫画を読まなきゃ!」
とか
「あのドラマ観なきゃ!」
とか
「あのブランドの服を買わなきゃ!」
とか
「あの店のスイーツを食べなきゃ!」
とかとか。

これらは「同調圧力」によりもたらされるものともいえますが、他人と同じ行動をすることで、嫌われないようにする目的の他に、仲間として認めて欲しいという承認欲求を満たそうとするものでもあります。

他人と自分との行動を比べて、同じ行動をしなければ認めてもらえないと思ったことがある方は要注意です。

また「見栄を張らない」ことも大切です。

注目を集めるために、他人が羨むような振る舞いをし続けていると、やがて逆の結果を招きます。

もちろん潤沢な資金があればいいんですけど、実際はなかなか続きません。
そうなると、お金が無くなったことを悟られないように、それまで以上に派手な振る舞いをしてしまいます。

いずれにしても大切なのは、他人との比較で承認欲求を満たそうとせず、オリジナリティに価値を見出し、自分自身と比較することです。

昨日の自分よりも、ほんの少し成長することを、オリジナリティを持って目指します。

昨日より少しだけ丁寧に過ごせた。
昨日より少しだけ落ち着いて話せた。
昨日より少しだけ、自分を責めずにすんだ。

そういう比較なら、あなたを必要以上に追い詰めません。

むしろ、自分の歩幅で前に進む感覚を取り戻しやすくなります。

これを続けることで、徐々に周囲の人々から認められ、本当の意味での「自尊・承認の欲求」を満たすことができます。

また、日頃から周囲の人々を優しい言葉で認めてあげましょう。

そうすればあなたは、認めてくれる理解者として注目され、認められていきます。

他人を押しのけて承認されようとするのではなく、他人を認められる人になること。

その方が、ずっと自然で、ずっと健全で、ずっと長く続きます。

さいごに

承認されたいと思うこと自体は、悪いことではありません。

認められたい。
価値があると思いたい。
必要とされたい。

そう思うのは、とても自然なことです。

でも、その欲求を満たすために、他人との比較や見栄ばかりを使ってしまうと、気づかないうちにこころもお金もすり減ってしまいます。

大切なのは、他人を基準にして自分の価値を決めないことです。

誰かより上か下かで安心しようとしないこと。
誰かにすごいと思われるためだけに無理をしないこと。

そして、自分自身の歩みをちゃんと見てあげることです。

昨日の自分と比べてどうだったか。
自分らしくいられたか。
無理をしすぎていないか。

そうやって、自分自身を基準にしながら生きていく方が、破滅からはずっと遠ざかれます。

承認欲求に振り回されるのではなく、うまく付き合うこと。

それが、自らの欲求で破滅しないために、とても大切なんです。