こころの不協和音とチューニング
感情・価値観・行動が噛み合わないとき、心の不協和音として立ち止まり、セルフモニタリングで今必要な調整を探します。
こころがしんどいとき、感情、価値観、行動がうまく噛み合わず、不協和音のように感じることがあります。
テクニックは抜群だけど、チューニングが合っていないって感じ。
バンドも、一人ひとりが上手ければ、それだけで気持ちのよい音になるわけではありません。
リズムや音程、音量のバランスがズレれば、演奏全体が落ち着かなくなります。
人も同じように、能力や努力とは別のところで、生活のバランスがズレることがあります。
この記事では、原因を一つに決めるのではなく、今の状態を見直すためのたとえとして「不協和音」と「チューニング」を使います。
「なんか変だな」は、小さな不協和音
バンドの練習なら、
「ギター、少し走ってない?」
「リズム隊がバラけてるよ」
「ヴォーカル、ずっとハウってるよ」
と、ズレたところを確かめます。
こころにも、理由はわからないけれど、
「なんか変だな」
と感じるときがあります。
本当は休みたいのに、休んではいけないと思っている。
嫌なのに、合わせ続けている。
大切にしたいことから離れた生活が続いている。
その違和感は、最初は小さなものかもしれません。
もちろん、疲れ、体調、病気、環境、人間関係など、別の要因が関係する場合もあります。
ですので、不協和音は原因を決める答えではなく、立ち止まる合図として使います。
いったん演奏を止める
チューニングがズレたまま、難しいフレーズを弾き続けても、気持ちのよい音にはなりません。
こころも、無理を続けるほど整うとは限りません。
「止まっちゃいけない」
「もっと頑張らなきゃ」
と思うときほど、いったん動きを弱めます。
予定を減らす。
返事を翌日にする。
眠る時間を確保する。
止まることは、後退ではありません。
今の音を確かめるための時間です。
録音を聴くように、自分の状態を見る
演奏中には気づかなかったズレが、録音を聴くとわかることがあります。
自分の状態も、少し離れたところから見ると、混ざっていたものを分けやすくなります。
心理支援では、自分の状態を記録して傾向をつかむ方法を「セルフモニタリング」と呼びます。
ここでは、原因を決めつけるためではなく、今どこにズレや負担があるのかを確かめるために、紙やメモへ次のことを書きます。
- 今、何に疲れているのか
- 何が引っかかっているのか
- 本当はどうしたかったのか
- 自分で変えられることは何か
- 今は自分だけでは変えられないことは何か
書き出すのは、感情を捨てるためではありません。
今の自分に必要な調整を探すためです。
今できる調整を一つ選ぶ
ズレが見えても、一度に全部を直す必要はありません。
連絡を一本入れる。
予定をひとつ減らす。
休む。
必要なことを調べる。
誰かに相談する。
自分で選べることの中から、今できる調整を一つ選びます。
他人の判断、過去の出来事、まだ起きていない未来のように、今の自分だけでは動かせないものは、無理に片づけようとせず、いったんそっと横に置きます。
ズレたら、またチューニングすればいい
コード進行を間違えたり、歌詞が飛んだりする日もあります。
こころも、疲れや環境の変化でズレます。
完璧に合わせ続ける必要はありません。
少しズレたら、また整える。
しんどくなったら、また止まる。
違和感があったら、もう一度聴き直す。
チューニングは、失敗した人がするものではなく、演奏を続けるために行うものです。
ひとりで整えられないときは
眠れない、食べられない、強い不安や落ち込みが続く、仕事や生活へ大きな支障が出ている場合は、ひとりでチューニングしようとしないでください。
医療機関や相談窓口、信頼できる専門家へ相談します。
厚生労働省「まもろうよ こころ」では、電話やSNSなどの相談先が案内されています。
この記事は、診断や治療を目的としたものではありません。