自分を責めすぎて苦しくなるときに、少し距離を置く考え方
自分を責める言葉が、自分そのもののように感じられることがあります。ACTの認知的脱フュージョンを使い、考えと事実を分け、次の行動へ移る方法を紹介します。
失敗や後悔があると、頭の中で自分を責める言葉が続くことがあります。
「自分が悪い」
「何をしてもだめだ」
「また同じことをした」
言葉が繰り返されるうちに、それが一つの考えではなく、自分そのもののように感じられることがあります。
この記事では、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)で使われる「認知的脱フュージョン」の考え方を取り入れ、自分を責める言葉から少し距離を置きます。
目的は、反省をやめることではありません。
頭の中の言葉と事実を分け、次に必要なことを選べる状態へ戻すことです。
頭の中の言葉は、自分そのものではない
頭に浮かぶ言葉は、とても本当らしく聞こえます。
「自分は役に立たない」
と浮かぶと、本当にそういう人間になったように感じるかもしれません。
でも、考えが浮かんだことと、その内容が事実であることは別です。
認知的脱フュージョンでは、考えを消そうとせず、頭に浮かんだ一つの言葉として見ます。
「私は〜と考えている」をつけてみる
たとえば、
「自分はだめだ」
ではなく、
「私は今、自分はだめだと考えている」
と言葉にします。
「全部自分が悪い」
ではなく、
「私は今、全部自分が悪いと考えている」
とします。
少し回りくどく感じるかもしれません。
その回りくどさが、考えと自分のあいだに小さな隙間を作ります。
起きたことと、人格への評価を分ける
次に、実際に起きたことだけを書きます。
「約束の時間に遅れた」
「相手へ強い言葉を返した」
「仕事の確認を忘れた」
これらは、見直す必要のある出来事です。
でも、
「だから自分は最低だ」
という結論は、出来事とは別の評価です。
必要な責任は引き受けながら、自分の全部まで同じ評価にしません。
そのときの状況や背景を見る
背景を見ることは、言い訳をすることではありません。
なぜ起きたのかを理解し、繰り返さない方法を考えるためです。
眠れていなかった。
予定が重なっていた。
嫌われるのが怖くて、無理に引き受けた。
怒りが強いまま返事をした。
背景が見えると、反省を人格攻撃ではなく、調整へつなげられます。
責める代わりに、次の行動を一つ選ぶ
謝る。
確認する。
予定の入れ方を変える。
次は返事を保留する。
今日は休む。
次にできることを一つ選びます。
すべてを取り返そうとすると、また動けなくなることがあります。
責任を取ることと、自分を罰し続けることは別です。
責める声が強い日は、疲れも確認する
睡眠不足や強い緊張が続いているときは、物事を悪い方向へ考えやすくなることがあります。
いつもより厳しい言葉が増えているなら、
「今日は判断より、休息が先ではないか」
も確認します。
疲れているときに出した結論を、人生全体の評価にしなくて構いません。
つらさが続くときは、相談する
自分を責める言葉が止まらず、眠りや食事、仕事、生活へ大きな影響が出ている場合は、医療機関や相談窓口、信頼できる専門家へ相談してください。
自分の安全を保つことが難しいと感じる場合は、身近な人や地域の緊急相談先へ早めにつながります。
このテーマに近い記事と本
自分を責める癖を少しゆるめる方法では、自動思考と事実・評価を分ける5つの方法を紹介しています。
同じことを何度も考えてしまう理由と、少し距離を置く方法では、反芻思考から離れる複数の方法をまとめています。
『カール・ロジャーズ入門』は、自分を責めて変えようとすることと、自分を受けとめながら変わることについて考える本です。
自分を責める自分まで、責めなくていい
自分を責める言葉が浮かぶのにも、理由があるのかもしれません。
失敗を繰り返したくない。
迷惑をかけたくない。
もっとよくなりたい。
その気持ちは残したまま、人格を傷つける言葉だけを少し横に置きます。
考えと距離ができれば、次に必要なことを選びやすくなります。