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『進化心理学入門』ジョン・H・カートライト|不安や恐怖を別の角度から見たくて読んだ本

ジョン・H・カートライト著『進化心理学入門』を紹介します。不安や恐怖を自分の弱さとして責めるのではなく、人間の心の働きとして別の角度から見つめるきっかけになる本です。

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『進化心理学入門』ジョン・H・カートライト

『進化心理学入門』ジョン・H・カートライト

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ジョン・H・カートライトさんの『進化心理学入門』。不安や恐怖、心の働きを進化の視点から考えるために読んだ本です。

心理学の中でも、私は進化心理学の考え方がとても好きです。

なぜなら、不安や恐怖のような反応を「ただ邪魔なもの」として見るのではなく、人間が生き延びてきた歴史の中で、どんな意味を持ってきたのかを考えられるからです。

もちろん、不安が強いときは苦しいです。

怖さに引っ張られて動けなくなることもあります。

気分が沈んでいるときには、こんな自分ではだめだと思ってしまうこともあります。

でも、進化心理学の視点を知ると、そうした反応を少し違う場所から眺められるようになります。

「この感情は、もともと何のためにあったのだろう」

「人間の心は、どんな環境の中でこの反応を身につけてきたのだろう」

そんな問いを持つだけでも、不安や恐怖を自分の弱さとして責めるだけではない見方ができる気がします。

ジョン・H・カートライトさんの『進化心理学入門』は、まさにその入口になる本です。

進化の視点から心を見る本

この本は、人間の心や行動を、進化という視点から見ていく入門書です。

新曜社の紹介では、恐怖や不安の由来、心の病、知性の発達などがテーマとして挙げられています。

心理学というと、どうしても「今の自分の考え方」や「今起きているつらさ」に目が向きやすいかもしれません。

でも、進化心理学はそこにもうひとつ別の問いを加えます。

なぜ、人間にはそういう心の仕組みがあるのか。

その反応は、どんな環境では役に立っていたのか。

今の社会では苦しさになっているものが、かつては生き延びるために必要だった可能性はないのか。

そんなふうに、心の働きを少し広い時間の中で考えていきます。

不安や恐怖を責めすぎないために

不安や恐怖は、できれば消したい感情かもしれません。

心配しすぎる自分が嫌になることもあります。

怖がりすぎる自分を責めたくなることもあります。

でも、不安や恐怖は、本来は危険を避けるための大切な働きでもあります。

危ないものに近づかない。

失敗しそうなことに備える。

何かがおかしいと気づく。

そうした反応があったからこそ、人は生き延びてきたのかもしれません。

もちろん、今の生活ではその反応が強く出すぎて、苦しくなることがあります。

本当はそこまで危険ではないのに、心だけが強く反応してしまうこともあります。

それでも「不安がある自分はだめだ」と決めつける前に「これは自分を守ろうとしている反応なのかもしれない」と考えてみる。

それだけで、不安との距離が少し変わることがあります。

不安との付き合い方については不安感を軽減する3つの方法でも紹介しています。

この本が合いそうな人

  • 不安や恐怖を、別の角度から理解したい人
  • 心の働きに生物学的な視点を持ちたい人
  • 心理学を感覚だけでなく、仕組みとして学びたい人
  • 人間の行動や感情に「なぜそうなるのか」という問いを持っている人
  • 自分の反応を、責める以外の形で見つめたい人

読むときに気をつけたいこと

この本は「入門」とありますが、やさしいエッセイのようにすらすら読める本ではないと思います。

進化、自然淘汰、適応、性淘汰などの話も出てくるので、少し落ち着いて読む本です。

気分がかなり落ちているときや、文字を追うだけで疲れてしまうときは、無理に最初から最後まで読もうとしなくても大丈夫です。

気になる章から読む。

恐怖や不安のところだけ読む。

心の病について書かれているところだけ、少しずつ読む。

そんな読み方でもいいと思います。

また、この本は心の不調を診断したり、治療したりするための本ではありません。

不安や気分の落ち込みが強く、生活に大きな影響が出ている場合は、医療機関や専門機関へ相談することも大切です。

Take a stepとしての感想

この本の良さは、心の反応を「意味のないもの」として扱わないところにあると思います。

不安も、恐怖も、気分の沈みも、ただ消すべきものとして見るのではなく、人間が生き延びてきた歴史の中で考えてみる。

その視点は、自分を責めすぎないためにも役に立つ気がします。

もちろん、進化心理学ですべてが説明できるわけではありません。

人の心は、進化だけでなく、育ってきた環境、人間関係、社会のあり方、体調、生活習慣など、いろいろなものとつながっています。

だから、この本も「これが唯一の答え」として読むより、心を理解するためのひとつのレンズとして読むのがちょうどいいと思います。

それでも、不安や恐怖を「自分が弱いから出てくるもの」と思ってしまう人には、少し違う見方をくれる一冊です。

自分の心を、もう少し広い時間の中で見てみる。

そんなきっかけになる本として紹介したいです。