寝る前に不安が強くなる理由と、少し楽になる過ごし方
寝る前になると不安が強くなる理由と、少し楽になる過ごし方を紹介します。夜の考えごとや眠れない自分を責めすぎず、呼吸やメモ、スマホとの距離など小さな工夫から整えていきましょう。
昼間は何とか過ごせていたのに、夜になって布団に入った途端、不安が大きくなることがあります。
今日あったことを思い出したり、明日のことを考えたり、何年も先のことが急に心配になったり。
「また眠れなかったらどうしよう」
「このままで大丈夫なのかな」
「どうしてあんなことを言ってしまったんだろう」
そんなふうに、考えごとが止まらなくなる夜もあるものです。
でも、それはあなたが弱いからではありません。
夜は、昼間よりも刺激が少なくなります。
仕事や家事、人とのやり取り、スマホの通知などが静かになっていく分、日中は見ないようにしていた不安や疲れが、ふっと前に出てくることがあります。
ですので、寝る前に不安が強くなるのは、心が壊れているからではありません。
日中に抱えていた不安や疲れに、静かな時間になって気づきやすくなっている状態だと言えます。
この記事では、特に寝る前や夜の時間に不安が強くなるときに絞って考えていきます。
夜は考えごとが大きく見えやすい
夜の不安がつらいのは、考えごとが実際よりも大きく見えやすいからです。
昼間なら「まあ、あとで考えよう」と流せることも、夜になると急に重大な問題のように感じることがあります。
特に布団の中では、体は休もうとしているのに、頭だけが動き続けてしまうことがあります。
考えれば考えるほど答えが出るのならいいのですが、不安なときの考えごとは、答えを出すどころか、不安を広げてしまうことがあります。
「どうしよう」と考えているうちに、
「もしこうなったら」
「そうなったら、もう無理かもしれない」
と、まだ起きていないことまで頭の中で広がってしまいます。
こうした同じ考えを何度も繰り返してしまう状態は、反芻思考と呼ばれることがあります。
研究でも、心配や反芻思考のような繰り返しの考えごとは、寝つきにくさや睡眠の質の低下と関係しやすいことが報告されています。
そんなときは、
「今は夜だから、不安がいつもより大きく見えているんだな」
と、少し客観的に見てみます。
不安に巻き込まれたまま考えるのではなく、
「今、自分は不安を感じているんだな」
と、少し離れたところから自分の状態を見るような感じです。
ほんの少しでも、不安と自分の間に距離ができれば、それでいいんです。
不安を消そうとしすぎない
寝る前に不安が出てくると、つい「早く消さなきゃ」と思ってしまいます。
でも、不安は消そうとするほど、かえって意識してしまうことがあります。
「考えないようにしよう」と思うほど、そのことばかり考えてしまう。
そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
不安が出てきたときは、
「今、不安を感じているんだな」
「今日は少し疲れているのかもしれない」
「今すぐ答えを出さなくてもいい」
と、いったんそのまま受けとめてみます。
不安は、失敗を避けようとしたり、危険に備えようとしたりする反応でもあります。
ただ、夜はその反応が強く出すぎることがあります。
ですので、無理に消そうとせず、少し横に置くようにします。
寝る前の不安を少し楽にする方法
1.考える時間を少し前にずらす
寝る直前に考えごとを始めると、布団の中が「悩む場所」になってしまうことがあります。
できれば、寝る少し前に、考えごとを紙やメモに出しておくのがおすすめです。
たとえば、次の3つに分けて書いてみます。
- 今気になっていること
- 明日やればいいこと
- 今すぐ考えなくていいこと
書いたからといって、不安がすぐに消えるわけではありません。
でも、頭の中だけで抱えるよりも、紙に書き出した方が少し整理しやすくなります。
過去の出来事が夜に浮かんできて苦しくなる場合は、過去の経験からくる不安にどう対応するかも参考になるはずです。
2.布団の中で答えを出そうとしない
夜の考えごとは、答えを出すのに向いていないことがあります。
疲れているとき。
暗い部屋でひとりになっているとき。
「眠らなきゃ」と思っているとき。
そんな状態では、落ち着いて考えられないことがあります。
ですので、布団の中で大きな決断をしなくていいんです。
「これは明日の自分に渡そう」
「続きは朝に考えよう」
と、いったん先送りしてもいいんです。
これは逃げることではありません。
夜の自分を守るための工夫です。
3.呼吸に意識を向けてみる
不安が強いときは、呼吸が浅く速くなることがあります。
だからといって、難しい呼吸法を完璧にやる必要はありません。
鼻から軽く吸って、無理のない範囲で少しゆっくり吐いてみる。
これを数回繰り返します。
息苦しさや違和感があるときは、無理に深く呼吸しなくていいんです。
大切なのは、うまく呼吸することではありません。
「今、自分は息をしている」
と、今の体に意識を向けることです。
不安な考えに引っ張られているとき、呼吸は今の自分に戻るための小さな手がかりになります。
4.スマホから少し離れる
不安な夜ほど、スマホを見たくなることがあります。
誰かの投稿を見たり、調べものをしたり、答えを探したくなったり。
でも、寝る前や寝床の中でデジタル機器を使い続けると、夜ふかしや睡眠不足につながりやすいとされています。
特に、不安なことを検索し続けると、安心したくて見ているはずなのに、かえって心がざわざわすることがあります。
完全にスマホをやめる必要はありません。
まずは、
- 布団に入ったら検索しない
- 寝る前は通知を見ない
- スマホを枕元ではなく、少し離れた場所へ置く
この中から、できそうなものをひとつだけ試してみます。
不安な夜に必要なのは、たくさんの情報ではなく、少し静かな時間なのです。
5.眠れない自分を責めない
眠れない夜が続くと、
「また眠れない」
「明日もつらい」
と、焦ってしまいます。
でも、眠ろうと頑張りすぎるほど、体に力が入ってしまうことがあります。
眠気がないまま、長い時間寝床で頑張らなくてもいいんです。
安全に動ける状態なら、一度寝床を離れ、暗めで静かな場所で過ごし、眠くなってから戻る方法もあります。
「眠れない自分はだめだ」
ではなく、
「今夜は眠りにくいんだな」
と受けとめてみます。
眠れない夜に、自分まで自分を責めなくていいんです。
心がざわつく夜は、少しだけチューニングする
夜に不安が強くなると、自分の中でいろいろな音がずれているように感じることがあります。
体は眠りたい。
でも、頭は考え続けている。
本当は休みたいのに、明日のことが気になってしまう。
そんなときは、心のチューニングが少しずれている状態と言えます。
無理に全部を整えなくていいんです。
「なんか変だな」と気づいて、少し立ち止まる。
頭の中にあることを書き出す。
今できることと、今はどうにもできないことを分ける。
こうした整理の仕方については、こころの不協和音とチューニングでも紹介しています。
寝る前の不安を、全部消す必要はありません。
少しだけ音量を下げる。
まずは、それくらいでいいんです。
つらさが続くときは、ひとりで抱え込まない
寝る前の不安がたまに出る程度なら、生活の中でできる工夫が役立つこともあります。
でも、次のような状態が続いているときは、ひとりで抱え込まないでください。
- 不安が強くて眠れない日が続いている
- 日中の生活に大きな影響が出ている
- 朝起きたときに休まった感じがほとんどない
- 強い眠気で仕事や運転などに支障がある
- 涙が出るほどつらい
- 消えてしまいたい気持ちが出てくる
睡眠環境や生活習慣を見直しても眠りの問題が続く場合は、睡眠障害や心身の病気が隠れていることもあります。
医療機関や相談窓口、信頼できる人に話すことも、今の自分を守るための行動です。
厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNS、地域別の相談先が案内されています。
夜の不安は、あなたの全部ではない
寝る前に不安が強くなると、その考えが本当のことのように感じられることがあります。
でも、夜に浮かんだ考えが、あなたの未来を決めるわけではありません。
疲れや静けさの中で、不安がいつもより大きく見えているだけということもあります。
ですので、今夜すべてを解決しなくていいんです。
考えごとは、明日の自分に渡してもいい。
眠れない自分を責めなくてもいい。
まずは、今夜を少し楽に過ごすことだけ考えます。
できそうなことを、ひとつだけ。
まずは、そこからでいいんです。
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参考資料
- 厚生労働省「こころの耳 5分研修シリーズ」
- 厚生労働省「Good Sleepガイド」
- Clancy F. et al. “The association between worry and rumination with sleep in non-clinical populations: a systematic review and meta-analysis”
この記事は、診断や治療を目的としたものではありません。
眠れない状態や強い不安が続き、生活に支障が出ている場合は、医療機関や専門家へ相談してください。