不安や恐怖を感じる自分を責めすぎないために
不安や恐怖を感じる自分を責めすぎなくても大丈夫です。不安や恐怖は心と体の反応でもあります。消そうとする前に、気づくこと、距離を置くこと、小さく動くことをまとめました。
不安や恐怖が出てきたとき、自分のことまで責めてしまうことがあります。
こんなことで怖がるなんて。
もっと落ち着かなきゃ。
気にしすぎなのかもしれない。
弱いから不安になるのかもしれない。
そんなふうに、不安や恐怖だけでなく、それを感じている自分まで否定してしまうことがあります。
でも、不安になるのは、弱いからではありません。
心や体が、危険や心配ごとに反応しているのかもしれません。
ですので、まずは不安や恐怖を感じている自分まで責めなくていいんです。
不安や恐怖は、心と体の反応でもある
不安や恐怖が出てくると、心だけでなく体にも変化が現れることがあります。
胸がどきどきする。
呼吸が浅くなる。
体に力が入る。
お腹が重くなる。
眠りにくくなる。
落ち着いて考えられなくなる。
出方は人それぞれですが、不安や恐怖は、頭の中だけで起きているわけではありません。
心と体が、何かを警戒しているのかもしれません。
不安があるから慎重になれたり、危険を避けられたりすることもあります。
ですので、不安や恐怖をすべて悪いものとして扱わなくていいんです。
「怖い」と感じる自分を否定しなくていい
怖いものは、怖いです。
不安なものは、不安です。
そこを無理に打ち消そうとすると、かえって苦しくなることがあります。
「怖がってはいけない」と思うほど、怖さに意識が向いてしまう。
「不安になってはいけない」と思うほど、不安を見張り続けてしまう。
ですので、最初にすることは、不安や恐怖をなくすことではありません。
今、自分は不安を感じている。
今、自分は怖さを感じている。
今、自分の体は警戒している。
まずは、
「ああ、今は不安なんだな」
と気づく。
そこからでいいんです。
不安と恐怖を少し分けてみる
不安と恐怖は、似ているようで少し違います。
恐怖は、目の前にある具体的なものに反応していることが多いです。
大きな音がした。
危ない場面に出会った。
誰かに強い言葉を向けられた。
そういうとき、体がすぐに反応します。
一方で、不安は、まだ起きていないことへ向かうことがあります。
失敗したらどうしよう。
嫌われたらどうしよう。
病気だったらどうしよう。
将来うまくいかなかったらどうしよう。
まだ確定していないことを、頭の中で何度も考えてしまうことがあります。
ただし、不安と恐怖は、きれいに分かれるものではありません。
目の前の出来事と、これから起きるかもしれない心配が重なっていることもあります。
ここでは、正しく分類するためではなく、今の自分が何に反応しているのかを見るために、少し分けて考えてみます。
- 今、目の前にある危険なのか
- これから起きるかもしれない心配なのか
- 過去の経験に反応しているのか
- 体が疲れていて、不安が強くなっているのか
こうして分けてみると、何に反応しているのかが少し見えやすくなります。
不安や恐怖が強いときは、体に意識を向けてみる
不安や恐怖が強いときは、頭でいくら考えても落ち着かないことがあります。
大丈夫だと言い聞かせても、体は緊張したまま。
そんなときは、考え方を変えようとする前に、今の体へ意識を向けてみます。
足の裏が床についている感覚を確かめる。
肩に力が入っていたら、少し下ろす。
無理のない範囲で、息をゆっくり吐く。
手に触れているカップの温度を感じる。
今見えているものを、ひとつずつ言葉にする。
大きなことをしなくてもいいんです。
頭の中が過去や未来でいっぱいになったときに、今ここへ戻るための手がかりを作ります。
「消す」より「距離を置く」
不安や恐怖を完全に消そうとすると、うまくいかないことがあります。
消そうとするほど、不安を探してしまう。
怖くないか確認し続けてしまう。
少しでも不安が残っていると、失敗したように感じてしまう。
ですので、目標を少し変えてみます。
不安をゼロにするのではなく、不安に飲み込まれすぎないこと。
怖さを完全になくすのではなく、怖さがある中でも自分を責めすぎないこと。
不安や恐怖が出てきても、すぐに結論を出さないこと。
「これは今、自分の中にある反応なんだ」
と、少し離れたところから見てみます。
反応があることと、それがすべて事実であることは違います。
不安や恐怖から距離を置くのは、その感情を消すためではありません。
不安に、次の行動まで全部決められないようにするためです。
「不安はある。でも、今すぐ結論を出さなくていい」
「怖いけど、まずは安全を確かめよう」
「今日は予定をひとつ減らそう」
そんなふうに、今の自分を守る行動を選ぶための余白を作ります。
過去の経験が反応していることもある
今の状況だけを見ると、そこまで大きなことではない。
それなのに、心や体が強く反応する。
そういうことがあります。
その場合、過去の経験が影響していることもあります。
前に傷ついたこと。
怒られたこと。
恥ずかしかったこと。
孤独だったこと。
どうにもできなかったこと。
そうした記憶が、今の出来事に重なっているのかもしれません。
もちろん、すべてを過去のせいにする必要はありません。
ただ、
「今の出来事だけではなく、これまでの経験も重なっているのかもしれない」
と考えることはできます。
そう考えると、
「こんなことで怖がる自分はおかしい」
と責める代わりに、
「怖くなるだけの理由があったのかもしれない」
と、自分の反応を少しやさしく見られることがあります。
不安がある日でも、できることを小さくやってみる
不安や恐怖があると、いつも通りに動けないことがあります。
集中できない。
決められない。
人と話すのがしんどい。
外に出るのが重い。
何をするにも時間がかかる。
そんな日は、いつもと同じ量をこなそうとしなくてもいいんです。
- 外に出るのが不安なら、玄関まで行くだけにする
- 連絡が重いなら、文章を下書きするだけにする
- 作業が進まないなら、ファイルを開くだけにする
- 気持ちがいっぱいなら、水を飲むだけにする
- 休みたいなら、楽な姿勢で体を休ませる
小さすぎるくらいでいいんです。
いつもの自分へ無理に戻そうとせず、今の状態でできる大きさまで行動を小さくします。
このテーマに近い記事
不安や恐怖を感じる自分を責めてしまうときは、不安との付き合い方や、過去の経験との関係もあわせて見てみると整理しやすくなります。
不安を少し軽くするために、まず試したい3つのことでは、不安が強いときに、呼吸や思考の整理から始める方法をまとめています。
寝る前に不安が強くなる理由と、少し楽になる過ごし方では、夜に不安が大きくなりやすいときの過ごし方について書いています。
過去の経験からくる不安にどう対応するかでは、過去の記憶が今の不安に影響しているときの向き合い方をまとめています。
このテーマに近い本
不安や恐怖を感じる自分を責めすぎてしまうときは、人の心の反応や、自分を受けとめることについて考える本が助けになることがあります。
『進化心理学入門』は、不安や恐怖を弱さとしてではなく、人間の心の働きとして別の角度から見直すきっかけになる本です。
『カール・ロジャーズ入門』は、不安や怖さを感じる自分を否定するのではなく、自分を受けとめ直すことについて考えるきっかけになる本です。
どちらも、すぐに不安を消してくれる本ではありません。
でも、不安や恐怖を感じる自分を責めすぎないための、別の見方をくれる本です。
不安や恐怖を感じる自分を、責めすぎなくていい
不安や恐怖が出てくると、早く消したくなります。
落ち着かなきゃ。
普通に戻らなきゃ。
そう思うこともありますよね。
でも、まずは
「今、自分は不安なんだな」
と気づくだけでもいいんです。
不安や恐怖には、そう感じるだけの理由があるのかもしれません。
無理に消そうとせず、少し距離を置いて、今の自分を守る行動をひとつ選ぶ。
水を飲む。
体を休ませる。
誰かに話す。
必要なら、専門家や相談窓口につながる。
不安が残っていてもいいんです。
その不安に、全部を決めさせなくていい。
まずは、できることをひとつだけ。